日々の緊張・イライラとみんなどう向き合ってるの?
緊張・イライラ対策のスペシャリストに聞いてみました。

『ココロを軽くする体操・姿勢・呼吸の方法』 中村 格子先生 『ココロを軽くする体操・姿勢・呼吸の方法』 中村 格子先生

  • 前編
  • 後編

体を動かすことで、心はスッと軽くなる

体を動かすことは精神面にとてもよい働きがあります。例えば、1日4000歩以上歩くことで、認知症やうつの予防が期待できることも明らかになってきています。毎日体を動かすことで、脳や自律神経が刺激されて、全身の血流もよくなって、健全な体づくりにつながります。そして、健全な体にこそ健全な精神が宿る。緊張・イライラの原因も、すべてが完全に科学的に解明されているわけではないと思うんです。本来は人間もまた動物ですから、同じところにずっと閉じ込められていると当然ストレスを感じるでしょうし、やはり適度に体を動かし、体を動かした分きちんと栄養をとることが大切なんですね。その上で、体操は体を動かす方法のひとつとして、とても有効です。

大人になった今こそ実感!ラジオ体操でストレスフリー

皆さんもよくご存知のラジオ体操は、実はすごく優れた運動方法なんです。まず、全身の筋肉や関節をまんべんなく動かせるということ。それから、短時間で、いつでも、どこでも、誰でもできるということ。特別な道具を使うこともないので、無理なく毎日続けられるんですね。私はラジオ体操指導士として、体操を行うレクチャーを多くの方にしています。詳しいことは著書にもまとめていますが、ラジオ体操の中にあるそれぞれの動きには必ず目的と正しい体の動かし方があります。例えば、ラジオ体操第一のいちばん始めの背伸びの運動では、両手を軽く握って、息を吸いながら腕を振り上げます。そして、下腹部を意識しながらグーッと上にしっかり伸ばす。注意したいのは、伸ばした時にかかとを上げないことです。こんな風に動きのポイントを確認しながら、姿勢や呼吸、筋肉の動きを意識して、体操ひとつひとつをていねいに正しく行うこと。そうすることで効果もアップします。

朝はスッキリ!夜はぐっすり!
こんな時に体操がオススメ

心地よいリズムにのって体操を行うことで、セロトニンの分泌が促されて、睡眠の質も高まると同時に朝の目覚めもよくなり、精神面でもイライラしにくくなるという効果が期待できます。ラジオ体操を行うにあたって効果的な時間帯は、朝の出勤前やお仕事前、それから眠気が強くなる午後3時頃がいいと思います。朝にやることで全身が目覚めて活発になりますし、日中は眠気覚ましのリフレッシュにもう一度という感じで。それから、公園などの屋外で行うのもひとつの手ですね。開放感もあってスッキリすると思います。日光にあたることも精神面によい働きがありますし、体内リズムも整います。それから、入浴後のストレッチもおすすめしたいですね。緊張・イライラの対策には、質の高い睡眠をとることも必要です。そのために、入浴後のストレッチがオススメです。体のいろいろなところをストレッチして伸ばすことで、心身のリラックスにつながります。ストレッチが終わって、入浴後20〜30分程経った頃にベッドに入れば、自然と体温も下がっていますし良質な睡眠が得られると思います。

いつの間にかあなたも!?
ストレスが溜まりやすいマイナス姿勢

現代人はデスクワークなど前のめりになるような姿勢での作業が多いと思います。そのために、自然と猫背になってしまって、それによって胸が圧迫されて呼吸も浅くなりがちです。それだけでもストレスの原因になるんですよ。だからこそ、しっかりと大きく深呼吸をして、体の中に溜まっている二酸化炭素をきちんとすべて出すことが重要です。呼吸は延髄を中心に無意識に行っているのですが、ストレスが溜まってきて体内に二酸化炭素が多くなってくると、延髄がそれを感知してため息が出るんです。体から二酸化炭素を出そうとするわけです。反対に、酸素が足りなくなってくると、たくさんの酸素を体に取り込もうとしてあくびをする。そういうサインが出たら、呼吸がきちんとできていないということなので、自然呼吸ではなくて、一度きちんと意識して呼吸するとよいと思います。そこで大切なのが姿勢です。姿勢が悪いときちんと呼吸もできなくなってしまうので、体の中へ空気がスムーズに入る姿勢を見つけていけば、自然といい姿勢になると思います。きちんと呼吸ができる姿勢がいい姿勢ということです。

座ったままできる
心をほぐす呼吸方法

実際に、猫背の姿勢で呼吸してみてください。次に、骨盤を立てることを意識してよい姿勢にしてから、同じように呼吸してください。この時、猫背の時と比べて肺のふくらみ方が全然ちがうことが実感できると思います。姿勢が変わると、肺に空気が入る量も変わってくるんです。ポイントは、いい姿勢を心がけること。それでは実際に、座ったままできる正しい呼吸方法をやってみましょう。
まず、座り方から。両方のお尻に均等に体重がのるようにして、足をしっかりと床に着けます。この時自分の体の中に一本のまっすぐなポールが通っているとイメージしてください。そして、体の力を抜いて目を閉じ、地面から大地のパワーが脚を伝ってお腹まで来るイメージをもってください。そこで、鼻から息を吸って、口からゆっくり吐いてきます。次は、太陽のパワーが頭の上から体の中にあるポールを通して、お腹まで降りて来るようなイメージをします。そして、鼻から息を吸って、口からゆっくり吐きます。次に、大地のパワーと太陽のパワーをお腹の中に集めるようにイメージします。そしてもう一度、鼻から吸ってゆっくり口から吐く。すべて吐き終わったら、ゆっくり目を開けます。このような流れで自分を内観するような感覚をもって呼吸を行うと、普段行う深呼吸とは全然ちがうことを実感してもらえると思います。もし緊張やイライラを感じたら、地球と太陽のパワーを集めるイメージをしながら大きく呼吸してみてください。

体操・姿勢・呼吸
心と体のバランスをとるために

体操やストレッチで体をほぐして、正しい姿勢で呼吸を行うことで、自律神経が刺激されて体調や脈が整ってきます。そうすると、心も体も自然とリラックスしてくる。ほどよい緊張感もありながらリラックスしている、そんな状態がいちばんいい状態だと思うんです。そうしたほどよくバランスがとれた状態に自分をどうやってもっていくか。そのために、体を動かすことはもちろん、他にも例えば、スマートフォンやPCなどのブルーライトを発するものは体内リズムを乱すおそれがあるので夜は控えるなど、規則正しい生活や質の高い睡眠をとることもしっかり心がけたいですね。

PROFILE

整形外科医・医学博士・スポーツドクター・横浜市立大学 客員教授
中村 格子 先生
横浜市立大学医学部・大学院卒業
長年の臨床整形外科医としての経験と国立スポーツ科学センター勤務を経て、2014年東京代官山にクリニックをオープン。「健康であることは美しい」をモットーに、抜群のプロポーションで行うわかりやすいエクササイズ指導が人気。
[主な著書]
「DVD付き もっとスゴイ!大人のラジオ体操 決定版」(講談社) など
メニューを開閉する